パッシブセルバランス方式の場合、充電間に基準値以上の電圧に達したセルの電力を熱として放出してバランスをとる方式のため、電力のロスが発生するとともに充電間しかバランスを行いません。このため放電の末期にはセルバランスが大きく崩れて過放電をおこす危険性があります。さらにこれを並列接続するとバランスはさらに大きく崩れるため、放電のかなり早い段階で一部のセルが過放電して劣化し始める危険性があります。(このような状況を分かりにくくするためにわざわざバッテリーパックをケースに梱包して、セル電圧を計測しにくくして販売している販社もあります)
アクティブセルバランスは電圧の高いセルから電圧の低いセルへ電力を流すバランス方式であるため、電力のロスが少なく、また充電間だけでなく放電間及び充放電しない静置間にもバランス機能を維持します。
アクティブセルバランサーを接続した4セル直列のバッテリーパックを充電しその後静置した時のテスト状況です。充電器の出力は5A、バッテリーセルは残電力量・劣化度の異なる40Ahのリン酸鉄型リチウムイオンバッテリー(シノポリー製)を使用しています。
*本テストでは残電力量・劣化度の異なる4つのセルを組み合わせて1パックとしておりますが、通常はこのような形では使用しません。セルバランス状況を分かりやすく呈示するためあえてこのような組み合わせをしています。
充電開始後、劣化の進んだNo.3・No.4セルの電圧が急激に上昇していますが、その後バランスが開始され一定電圧以下にとどまり、過充電には至っていません。(何もないときはそのまま電圧が上昇して過充電状態となります)
劣化はしていないもののほぼ満充電状態のNo.1セルは充電開始後なだらかに電圧が上昇していますが、同じく劣化していないものの残電力量もあまり残っていないNo.2セルは短時間での充電ではあまり電圧が上昇しません。その後No.1セルの電圧が上昇し続け、4つのセルの合計電圧が14.6Vに達した段階で充電が終了します。(充電時間が短かったためNo.2セルは満充電に至っていません)
充電終了後、静置された状態で各セルの電圧は自然に降下しますが、その間もバランスが機能し続け最終的に全セルが3.3V程度に落ち着きます。